ボルボの頂点SUV「EX90」は0-100=5秒、約1500万円の超クールなデザイナーズEV
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:ボルボ・カーズ 58
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中国ジーリーの子会社ボルボは2030年以降に発売される同社の製品をすべて電動化、そして2040年には全社における生産活動をすべてCO2ユートラルにするという目標を立てている。もちろんその計画はモデルにも順次反映されており、日本でも昨年から同社初となる「C40リチャージ」の発売を開始している。
そしてスウェーデンのイエテボリ本社において「EX90」を発表した。2023年に登場予定のフルサイズSUVはモデル名から想像できるようにトップモデルである「XC90」のBEVバージョンである。使用されるプラットフォームは「SPA2(ボルボ・スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」と呼ばれ、全長、ホイールベース、電池容量、さらに電気モーターの出力まで自由に選択可能で開発生産効率を高めることができる。
このEX90は全長5.04×全幅1.96×全高1.75m、ホイールベース2.99mで3列シート、7シーターのキャビンレイアウトをもっている。2分割の3番目シートを倒せばトランク容量は310~1010L、2列目シートまで倒せば最大で1915Lへと変化する。
シルエットなど全体的なデザインはXC90の流れを汲むが、各所にはC40リチャージに見られるような新しいアイコンが散りばめられている。ただしボルボのアイコンであるトールハンマーヘッドライトやコの字型のリアライトとそれに続くリアウインドウ両脇のLED照明などはさらにモダンでスマートになっている。
エアロダイナミックも洗練されており、一見するとボクシーなボディにもかかわらずCd値は0.29を達成。北欧家具のようなデザインのインテリアはシンプルでフレッシュ、インフォテイメントもドライバー正面の横長モニターとセンターコンソールにある縦長のタッチスクリーン2個で、一体型の巨大なスクリーンは存在しない。こうした控えめなデザインテストはまさにスウェデッシュといえ、昨今のドイツブランドに見られるように、いたずらに中国化されていないのは好ましい。
発売直後に市場に送り込まれる「ツインモーターパフォーマンス(EE)」に搭載されるのは前後のデュアルモーターでシステムパワーは510hp/910Nmで、2.8トンのボディを0-100km/hまで4.9秒で引っ張り、最高速度は180km/h。
一方、ノーマルの「ツインモーター(EV)」のデュアルモーターのシステムパワーは402hp/770Nmで、0-100km/h加速は5.9秒、最高速度は同じく180km/hとなっている。
搭載される電池は111kWhのエネルギー容量をもつCATL製で、WLTP値で590km(パフォーマンス、※ノーマルは600km)の航続距離が確保されている。
充電は最大250kW(80%まで30分)、将来的には300kWにも対応する。 さらにV2H(クルマ=家庭)に代表される相互充電もできる。またボルボは2013年から電池の寿命に関する研究開発を続けており、搭載アプリに従って充電を行えば最大で50万キロメートルまでの耐用年数が可能であると公表している。
もちろんボルボの売りである安全性や将来的な自動運転に備えてEX90にはフロントウィンド上に搭載されたアメリカのルミナ―・テクノロジーズ社製の高性能LiDARセンサーを含むハードウエアが装備されている。このLiDARは8基のカメラや5基のレーダーを搭載し、昼夜に関わらず250m先の歩行者や、タイヤなど黒い障害物まで検知することを可能にしている。
ボルボによればこの技術は事故による死者あるいは重傷者を最大で20%まで低減させることを可能にする。さらに2023年の発売までにはレベル3の導入が予定されており、その性能は現在発売されているメルセデス・ベンツの「ドライブパイロット」のリミットである制限速度60km/hを超える速度でも作動が可能と言われている。
ボルボ社長のジム・ローワンは発表会で「このモデルこそ我々がどこを目指すかを表すステートメントである」と語った。このフラッグシップSUVの生産はまず需要の最も多いUSA工場で2023年から開始され、続いて中国でも生産される予定だ。
出荷は2023年末の予定となっている。注目の価格はベース・モデルが10万5550ユーロ(約1500万円)からスタート、トップモデルのEX90パフォーマンスは110650ユーロ(約1570万円)と発表されている。
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